おはようございます。
早朝にひと仕事。7時から次世代幹部養成塾第7講。テーマは「2019年の年頭にあたって」の解説。終了後、自宅に戻って撮影準備。10時からは本別での取材。山の中。風が冷たい。ふだんなかなか見ることのできない風景。午後はR社へ年始あいさつ。3時半、役員会。4時半、幹部会議。
「奇跡」の理由
絶体絶命か? そう思うような大ピンチは人生の中で何度か起こるものです。ただ、それは10年か20年に一度くらいのこと。「大」のつかないピンチであれば、年に数回訪れるのではないかと思います。
今週の僕はそんな状況にあり、人に任せることも、誰かに手伝ってもらうこともできない仕事を大量に抱えていたのでした。こんなとき、必ずやってくるものがあります。僕はそれを「奇跡」と呼んでいるのですが、本当は奇跡ではないのかもしれません。きっと誰かが助けてくれているのでしょう。
昨日もそうした奇跡が起こりました。今日予定されていた旭川取材はフォトグラファーS氏に変更となった。S氏に入っていた予定がキャンセルになったためらしい。これは新しいパターン。いつもなら、僕のスケジュールがぽっかり空いて「助かった」という状態になる。誰かの予定が空いたおかげで僕が助かるというのは、僕の苦境を知っている人がいて、予定を調整してくれたからに他なりません。
今回伝えたいのは、「僕がピンチ」ということではなく、「気づいて行動してくれる人がいる組織をつくることが大事」という話です。この点、我が社はまだまだ理想の組織とはなっていません。僕の場合はたまたま救われるということが多く、それを「奇跡」と解釈しているのですが、社内には奇跡と縁遠い人もいるのではなかろうか……と思ってしまいます。社内の隅々にまで「奇跡」が起こるような組織に変えていく必要がある。昨日は特にそう感じました。
そういえば、昨日はスロウ編集部T氏の車が路上でエンジントラブルを起こす……というアクシデントもありましたね。次世代幹部養成塾参加のため、朝7時前の出来事。通勤ラッシュの時間帯でなくてよかった。編集者S氏の助けを借りて、無事修理に持ち込むことができたそうです。
誰もが年に何度かはピンチに見舞われることがあるでしょう。そのピンチはわかりやすいものもあれば、わかりにくいものもある。わかりやすいピンチであれば、普通の意味で親切な人がいれば、たいてい助けてもらえるもの。また、自ら困っている人を助けることもあるでしょう。多くの職場では、そうした助け合いが自然に行われているに違いありません。
一方、わかりにくいピンチの場合はどうか? 困っているときに困った顔をする人であれば、察知できるものですが、ポーカーフェイスだったり、無理に平気な顔をしている人もいるのではないかと思います。「困っても助けを求めない」という信条を持っている人の場合、ピンチがわかりにくく、小さな困り事が大ピンチに発展してしまうこともあるでしょう。
毎日一緒に仕事をしている人は、観察眼を持って小さな変化を見逃さないようにしなければなりません。
チャレンジする意味
これとは逆に、ピンチと言えないようなピンチであっても大騒ぎする……というタイプの人もいます。こうした人の場合、「できない」が口癖になってしまうことがあります。自分の能力を上まわる仕事がやってくると「できない」という言葉になる。できる仕事以外はできない。ある意味、わかりやすいのですが、このような働き方をしている限り、たいした成長は望めない……。
できるかどうかわからないことにチャレンジするからこそ、人は成長し、仕事にやり甲斐を感じることができるのだと思います。そういう仕事観、人生観を持つことが大事。
我が社のこれまでの歴史を振り返ってみても、できそうもないことにチャレンジし続けてきたからこそ、今日の会社がある。できることだけ続けていたとしたら、たぶんどこかの時点で会社はなくなっていたことでしょう。自分・自社の能力を広げるためには、「できるかどうかわからない」と思っても、チャレンジしなければならないのです。
で、実際にやってみたら、案外簡単にできてしまった……ということが起こります。もちろん、苦労して何度も失敗を繰り返した結果、できるようになった、というケースもあるでしょう。
たぶん、こういうパターンもあるのではないかと思います。やってみたら、うまくはいかず悪戦苦闘しているうちに、別な可能性を発見した。思い通りの結果にはならなかったが、想定外の成果を生み出すことができた……。そういう仕事人生もまた楽しいものです。一番つまらないのは「やる前にあきらてしまう」という人生。やってみれば、それが思い通りでも、思い通りに行かなくても、一歩前に進むことができるわけです。
そこで、改めて思ったが、社内には「気づいて行動してくれる人」の存在が欠かせない、ということなんですね。サポート力を持った人が多くいれば、その分、チャレンジしやすい環境ができあがる。チャレンジする人の足を引っ張るような人は我が社にはいないと思いますが、気づかずに傍観しているだけという人はいるような気がします。
いま社内でどんなプロジェクトが動いているのか。まず、そうした情報を伝える必要がありますし、そうした活動の意味や将来のイメージを社内全体で共有することが大事。そうすると、プロジェクトの最前線に立っている人にどんな手助けができるのか、各自考えるようになっていくのではないかと思います。
新しいことにチャレンジする。それは直接プロジェクトに関わる人たちだけの問題ではありません。そのまわりにいる人たちの感性を豊かにし、人格形成にもつながっていくことになるのではないかと思います。そうした健全な組織の機能を発揮できるかどうか? 僕らはもっとハイレベルな感性を身につける必要があると思っています。